ゴォォ・・・という風の音が響いている。
滝ノ小屋の向こうの斜面が見え、そこに流れる雲の間から陽が差している様子が目に入り、
し~んとした気持ちになった。
ここに自分が立っていることが、不思議な気持ちになる。
強風が吹き抜けるようになり、雪面には風紋が。
西側の空が、さっきより暗い灰色になっていた。
強風に雪煙が上がっている。
ここから滝ノ小屋までは、強風を受けながら登ることになりそうだ。
風が吹いてくる方へと登っていくと、
白いドームのような斜面があった。
ガチガチではないので、アイゼンは使わずスノーシューのまま登っていく。
車道終点の建物が横に見えるようになったよ。
白い波の上を歩く。
遮るものが無く、冷たい風が吹き付ける白いドーム。
時々 雪煙が上がるたびに、立ち止まって 景色を眺めてしまう。
その美しさに惹かれて。
振り返って見る。
登ってきた尾根、右手に湯ノ台道の尾根、左側に鳥海高原ラインの尾根。
スタート地点の鳥海高原牧場は ずいぶん下に見えた。
体が冷えてしまわないように どんどん登ればいいのに、
雪煙が上がるたびに 立ち止まって見入ってしまう。
う、うつくしい~・・・。
少し緩やかになり、またすぐに急斜面に。
雲が頭上を勢いよく流れ、粉雪が自分の方へ飛んでくる様子に心惹かれ、
ゴォ~ッと風が吹いてくる方へとカメラを向けたけれど・・・
そんな様子を写すのは難しかった・・・。
晴れて静かな時の景色もいいけれど、
こんな景色にも強く惹かれてしまうので、
ボ~ッと ただただ眺めていたい気持ちになる。
いかん、いかん、体が冷え切ってしまう前に、滝ノ小屋に行こう!
と、小屋があるはずの方に向かい始めようとしたら、
ダケカンバの木の間に 滝ノ小屋が見えた!
吹雪の牧場を歩いていた時は滝ノ小屋まで登ってくることなど考えていなかったから、
ここまで登ってくることができたことが嬉しい。
滝ノ小屋は すぐ目の前。
強い向かい風の中を歩いて行く。
12:08 滝ノ小屋に到着。
思ったより雪が少ない。
小屋の玄関辺りに入って昼食を食べることも考えていたけれど、
樹林帯まで下ってからの方がいいなと思い、
ちょっと水分補給して 下山開始。
あそこまで 気を付けて下っていこう、と思いながら、
鳥海高原牧場を見下ろした。
雪煙舞う景色を眺めながら登った斜面。
下りはなるべく立ち止まらないようにして下ってきて・・・
樹林帯へ。
ふと目を向けた西側の斜面に、滑った跡が。
樹林帯に入っていくのが
ホッとするような・・・ちょっと残念なような・・・。
・・・⑤へ続く・・・