「夏の間、農作業バイトしませんか?」
と Ⅿくんが連絡をくれたのは、6月初めのこと。
3月いっぱいで仕事を辞め、のんびり過ごしていたのだけど、
そろそろ何かやろうかな・・・と思うようになっていたところだったので、
やります!と すぐに返事をした。
Ⅿくんが働いている白山地区のその農家さんでは、
鶴岡市の特産物の一つである『白山だだちゃ豆』と米を栽培し、
枝豆、米、麴味噌、甘酒・・・などをつくって販売しているのだった。
私の6・7月中の作業は、枝豆畑の草取り。
気温が高くて 汗が滝のように流れたけれど、
西風が吹き抜ける場所に畑があったので ありがたかった。
畑にも 畑の周りにも いろんな生き物がいた。
小さめの最初の畑と2番目の畑では・・・
何かの幼虫が 葉を食べてフンをしてた。
調べたら モンキチョウの幼虫のようだ。
キャベツに来るのはモンシロチョウで、枝豆に来るのはモンキチョウ・・・。
カメムシの匂いがするなぁ・・・と思って 辺りを見たら、
カメムシがいた。(何カメムシだろう?)
3つ目からの畑からは、田んぼの中の大きな畑。
遠くに 鳥海山や月山、金峯山・鎧ヶ峰・母狩山・湯ノ沢岳、荒倉山・高館山・・・
と、ぐるっと山々が見え、
頭上には 広い空が広がり、西風が吹き抜ける場所。
ヒバリが鳴きながら飛んでいたり、
庄内空港と羽田を結ぶ飛行機が飛んで行ったり。
枝豆の根元に 小さな卵があるヒバリの巣があったことも。
7月25日、大雨特別警報が出されるほどの雨が降った。
雨雲レーダーを見ると線状降水帯の発生を示す雨雲があり・・・
いったいどれだけ降るんだろうというような雨が降って・・・
市内の河川決壊と周辺地域への避難指示を知らせる緊急速報が次々に出された。
大雨の翌日は、ウソのように雨が上がって静かに。
幸い自宅付近は被害がなかったものの、
気になったのは枝豆畑の状況。
バイトが休みの日ではあったけれど、
状況によっては何かお手伝いすることがあるかもしれないと連絡してみると、
「水抜き作業は既に終わったから、畑の方は大丈夫」
とのこと。
暗い中、雨具を着て 水抜き作業をしたんだろうな・・・と思った。
大雨の2日後、
畝と畝の間の土は まだ濡れていて、歩くと長靴が少し沈むところもあったけれど、
作業できそうなところを探して草取り。
カラスは 歩いても全然沈まないけどね。
ふと見ると・・・
大雨の前には咲いていなかった花が咲いていて嬉しくなった。
白くて小さくて可愛い花。
7月中旬を過ぎると、
頭が赤、体が黒の虫が たくさん葉にいた。
何だか 山で見かけた「ツチハンミョウ」に似ているなぁ・・・と思いながら調べたら、
『マメハンミョウ』という虫だった。
幼虫は イナゴやバッタの卵を食べ、成虫は枝豆の葉を食べるらしい。
空を見上げることは、作業中の楽しみの一つだった。
毎日ちがう空。
しばらくの間 雲で見えなかった鳥海山の頭が 久しぶりに見えた時は
嬉しかったなぁ・・・。
8月に入ってからは、
収穫した枝豆の選別と袋詰め。
畑から枝豆を抜く作業は、
日の出前で まだ暗い 朝3時過ぎからやっているそうだ。
こんな機械で実を外し・・・
( この写真は 作業後に機会を洗っているところ)
学生のアルバイトの人たちが
たらいの中で豆を洗って 水切りして 小さなコンテナに入れて 冷蔵室へ。
冷蔵室から出してきた豆を 流れ作業で選別。
機械にかけた時に割れてしまったものや
実が大きくなっていないもの、
変色している部分があるもの・・・
などを 取り除く。
選別は、6人が2人ずつ向かい合って 三段階で。
・・・最初の2人は 混じった茎・葉や 明らかに売り物にならない豆、
・・・次の2人(私もここ)は その次の段階の取り除き、
・・・枝豆農家のお二人が最終チェック。
豆がたまったコンテナを冷蔵室に運び、次の豆を冷蔵室から運んで機械に入れるのは、
今年初めて選別作業をする私の仕事。
選別した豆を、
重さを測って 袋や箱に詰める。
箱詰めは 学生さんたち、
袋詰めは 私たちが担当。
作業開始から1時間半から2時間たった頃、
みずみずしいスイカやお菓子、麦茶などをいただきながら 休憩。
後半 また気持ちを切り替えて作業に入るのだ。
朝8時から12時頃までの作業だけれど、
ものすごく集中しての作業だし 今回初めてするバイトなので、
帰宅後は グッタリ・・・。
作業終了後に少しいただいてくる“はじき“の豆を茹でて食べて 元気が回復する・・・
という毎日。
今年の天候や先月の大雨の影響などで、収穫量が例年より少ないとのことだけれど、
食べた豆は 甘味があって とても美味しい。
枝豆の選別作業は 9月中旬まで続く。