『あばり』さんにて購入。
タイトルに興味を持っただけでなく、
表紙(写真・デザイン・紙質・・・)にも惹かれて手に取った。
そして、
パラパラと中を見て 写真の美しさに引き込まれ、
いつの間にか しゃがみこんで文章まで読み始めてしまっていた。
この本の写真の美しさは、
取材した人たちとともに 実際に何日かを過ごし、
その暮らしを体験した中で撮られたことにあるのだろう。
この本で紹介されている人たちの暮らしも素晴らしいけれど、
この写真家も素晴らしい。
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拒絶されたり、荷物がなくなったり、凍傷にかかったりといったさまざまなトラブルにもかかわらず、私は新たな人とつぎつぎに会った。
現代生活に疑問を抱きつつある人類のいわば前兆ともいえる彼らの運命を、一時的にでも分けてもらいたいという強い欲求に駆り立てられつづけた。
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アメリカの思想家ソローのように、本書の登場人物たちもそれぞれ、
それまでの人生を変えようという自分の内なる呼びかけを感じてきた。
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彼らが「語ってくれる言葉の一つ一つは、ソローが書いたことに呼応している。
そこには、自身の本質と自然とを調和させたライフスタイルを追求するという同じ方向性が見られる。
彼らは、過酷で不安定に見える日常を選択した。
そして、ソローのように、
自分の道を切り開き、自分にふさわしい人生を見つけだせるかどうかは一人一人にかかっていると知っている。
ヘンリー・デイヴィッド・ソローの『ウォールデン 森の生活』を読んで
ソローの言葉が心に強く響き、
子ども時代に抱いた感情がよみがえってきたことが、
長い時間をかけて 大自然の中で暮らす人たちを取材することにつながったそうだ。
本の中で紹介されている言葉(ソローや取材した人たちのもの)の中から
いくつかを書いておく。
「仲間たちと同じリズムで進まない人間は、
おそらく別の太鼓の音を聞いているのだろう。
その音がどこから来ようが、どんなテンポであろうが、
その人の耳に入ってきた音に合わせて進めばいい。」
(ソロー)
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「地球の表面は柔らかいので、そこには人類の足跡がつく。
思考の道筋も同じだ。
世界じゅうの大きな道路は、どれだけ摩耗し、どれほどほこりだらけになっているのだろう!
伝統と順応主義がつけた轍はどれだけ深くなってしまっているのだろう!」
(ソロー)
「この場所だと、深く根づくことができます。
初めて、自分自身を知ることができました。」
( シルビア )
「ここ二年間の経験から、
私たちが暮らす緯度でも、驚くほど簡単に自分の食べるものを手に入れることができ、
人間は動物と同じくらいシンプルな食事をすることで、
体力と健康を保つことができるとわかった」
( ソロー )
「ここでは、自分がすることはなんでもすぐに意味があると感じられるんです。
薪を割ったり、野菜を育てたりしただけで」
( ジョージ )
「自分の夢が与えてくれる方向に自信をもって進み、
思い描いていた人生を送ることに懸命になる人は、
ふだんでは考えもつかなかった成功を収めるだろう。
その人は、いくつものことを顧みないまま、
目に見えない境界線を越えていくだろう。
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夢みたいな計画を立てたからといって
時間を無駄にしたわけではない。
計画とはそもそもそういうものなのだ。
だから今は、その基礎を固めよう。
( ソロー )