この日の作業を終え、そろそろ下山するというHさんに挨拶し、
南高ヒュッテを出たのは 12時。
まだ時間はあるので、
状況を見て、折り返すことにして、もう少し登ってみることにする。
スノーシューを履いて 鳳来山の方へと歩き出した。
西側から冷たい風がビュービュー吹いてくる。
・・・さ、寒い!
体が少しでも早く温まるように、あえてトレースのないところをワシャワシャ登っていく。
尾根に上がると、
ますます冷たい風がビュービュー吹き付けてきた。
灰色の空。冷たい風。
先に登って行った方たちは、どの辺りまで登っていったのだろう?
寒い寒いと思いながら尾根を歩いて行くと、
奥に 鳳来山の手前のピークが見えてきた。
鳳来山山頂は 風が吹き抜けるから、もっと寒いんだろうな~。
せっかくだから せめて鳳来山までは行きたいけど・・・
どこまで行こうかな~。
そんな一方で、
寒いからこそ見ることのできる景色に惹かれる自分もいて。
ブナの大木が並ぶ辺りまで来ると、
風は ますます強く冷たくなってきた。
西からの強風に波打つ雪面。
尾根の東側の木々には 雪が着いて白くなっている。
そんな様子を眺めながら歩いた。
ブナの樹皮、
地衣類がたくさんついているところと、
つるんとしたところと、
雪が着いているところと。
毎度 雪庇ができるところ。
一度とけて崩れたところに新雪が乗っている感じかな?
雪庇辺りから東側を見る。
その先のピークまで来ると、
木々の間から 一つ目の急斜面、鳳来山の手前のピーク、そして大黒台の方が見えた。
いったん下り、強い風が吹き抜けるところを通り・・・
一つ目の急斜面に入っていく。
風のあたる木の西側が赤っぽくなっているのは、なぜ?
西からの強風で
夏道のある斜面の西側は 石や木の根が出ているところも多いので、
ここを真っ直ぐ登っていくことにする。
急斜面を登り切ると、
目の前には もっさりした雪庇があり、
奥にはガスが流れて寒そうな鳳来山山頂付近が見えていた。
うわ・・・鳳来山山頂、寒そうだよ~。
手前で折り返してくるか?
・・・と思っていると、2人の方が下ってきた。
「あれ? 金峯山で会ったことあるよね~」
と お一人が声をかけて下さった。
「どの辺りまで行かれたんですか?」
「鳳来山の山頂に行って、少し下ったところで昼メシ食って戻ってきたよ~。」
・・・やっぱり鳳来山山頂は寒そうだ。
私も、鳳来山山頂まで行ったら、少し下ったところで昼食を食べて戻ってこようかな。
・・・と思いながら行くと、
あれっ?
少しずつ青空になってきたぞ?
鳳来山山頂付近は、
霧氷が着いた木々できれいかも!
と、ちょっと明るい気持ちになってきたりして。
雪庇、思っていたより大きい。
クリスマス寒波・年末年始寒波と、
ドドッと大雪が降ったからかなぁ。
おお~~・・・
こんなふうに西風がびゅ~っと吹いて・・・
東側の木々に雪が着くのかぁ・・・。
びゅ~っ・・・
西風が吹き抜けていく。
晴れた日の青と白の世界は もちろん美しいけど、
吹雪いて白く霞む景色も とっても美しいと感じる・・・。
そんな白く霞む景色を写真に写すのは なかなか難しくて
とにかくシャッターを押した、という感じだな。
西側から吹きあがって来て・・・
東側に 吹き降ろす・・・。
鳳来山の手前のピークが大きくみえるようになってきた。
細い枝についた霧氷を眺めたり・・・
雪の美しい曲線を眺めたり・・・
雪が着いた木々を眺めたりしていると・・・
男性3人が下ってきた。
「どの辺りまで行かれましたか?」
と訊くと、鳳来山までだという。
「その先はたぶん、アイゼンとか無いとキビシイと思いますね~」
とのこと。
ううむ・・・若い男性も鳳来山までで折り返してきたのかぁ・・・。
灰色の雲があったし、風もかなり強そうだったからなぁ・・・。
私は・・・
私は、どこまで行く?
さっきまでは鳳来山までも行くかどうか迷っていたのに、
少しずつ青空が見えてきたことで
「鳳来山の先」が気になり始めていた。
・・・③へ続く・・・